資産形成

老後資金が尽きないために──「4%ルール」という安心設計

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みなさん、こんにちは。
今回は、老後資金としての資産の取り崩し方についてアイデアを紹介します。

退職後、給与収入がなくなった場合に向き合う現実のひとつは、「どうやって蓄えてきた資産を取り崩して生活していくか」です。長生きする時代だからこそ、老後資金が枯渇するリスクには敏感にならざるを得ません。

そんな中、私が非常に共感したのが、名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール著)に紹介されている「4%ルール」という考え方です。これは、退職後の資産運用と取り崩しにおいて、無理なく、かつ安心して生活を送るためのシンプルながらも強力な指針となります。


資産をどう取り崩すか?

退職後、老後資金のポートフォリオが「株式50%:債券50%」だった場合、生活費をまかなうためにはどのように取り崩していけばいいのでしょうか?

このとき、1年に取り崩す金額を「保有資産の4%以内」にとどめることが推奨されています。これが「4%ルール」と呼ばれるものです。

4%ルールによる資産取り崩しイメージ(初年度資産2000万円)

年間取り崩し額と運用益の推移(仮定:年利5.5%で運用)         単位:円

年度総資産
(期首)
取り崩し額
(4%)
残資産
(運用対象)
運用益
(+5.5%)
総資産
(期末)
1年目20,000,000800,00019,200,0001,056,00020,256,000
2年目20,256,000810,24019,445,7601,069,51720,515,277
3年目20,515,277820,61119,694,6661,083,20720,777,873
4年目20,777,873831,11519,946,7581,097,07221,043,830
5年目21,043,830841,75320,202,0771,111,11421,313,191

※運用益は年利5.5%、取り崩し額は前年末資産の4%と仮定
※インフレの影響や課税などは考慮していません

このように、取り崩しつつも資産残高は年々わずかに増加していくため、長寿リスクへの備えになります。リターンが安定していれば、少しずつインフレに応じた生活費の引き上げも可能になります。


なぜ「4%」なのか? ── その根拠

「株式は、長期で見ればもっと高いリターンが見込めるのに、なぜ取り崩しは4%なのか?」と感じる方もいるかもしれません。

それには、以下の2つの理由があります。

理由1:インフレへの備え

『ウォール街のランダム・ウォーカー』によると、株式は長期的には年平均7%、債券は4%のリターンが期待できます。50%ずつの割合なら、平均で5.5%程度の年リターンが見込めます。

ここにインフレ率1.5%を差し引くと、実質的なリターンは4%。つまり、4%ずつ取り崩していけば、毎年同じ「価値」のお金を引き出せることになります。

理由2:市場の変動リスクに備える

リターンは毎年安定しているわけではありません。ときには2008年のような金融危機が起こり、資産が大きく目減りする年もあります。

このような年に7%など高い割合で取り崩すと、資産が一気に減り、回復のチャンスがなくなるリスクがあります。そのため、リスクのある年を乗り越える「余裕」を持つためにも、取り崩しは4%以下に抑えることが賢明なのです。


「安心して長生きする」ための知恵

老後を安心してバランスよく過ごすには、「どう減らしていくか」が極めて重要です。

「4%ルール」はその最適な答えのひとつです。資産寿命と自分の寿命をうまくバランスさせ、無理のない生活、将来への備え、そして心の平穏を与えてくれるルール。

今後のライフプランを立てる上で、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

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Kiyoppi
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こんにちは!「50代からのセミリタイヤ生活!」へようこそ。 金融系システムエンジニアとして、長年忙しい会社員生活を送ってきました。仕事に追われる毎日を過ごしていたためお金を使う時間がほとんどなかったこと、また自分では意識していなかったものの節約志向が高かったこと、加えて20代から行ってきた株式投資での幸運もあったことから一定程度の資産を築くことが出来ました。 50代半ばを迎え、もう少し自分や家族のための自由な時間を持ちたいという思いから定年前に会社員をやめ、現在は個人事業主としてゆるめにお仕事を行っております。 ここでは、実際にセミリタイヤ生活を始めた私が、実践してきた節約・投資のノウハウや、セミリタイヤ後の生活について発信してきたいと思います。 ※投資は自己責任です。ご自身で責任をもってご判断をお願いします。
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