2025年5月26日、日本郵便が大きな一歩を踏み出しました。これまでの郵便番号制度に加えて、番地や部屋番号までを含んだ「住所全体」を7桁の英数字で表す新しい住所コードサービスを正式にスタートさせたのです。
この仕組みは、1968年に郵便番号が導入されて以来、実に半世紀ぶりとなる住所制度の進化です。社会インフラとしての次なるステージを目指す、日本郵便の挑戦的かつ実用的な取り組みに、まずは大きな拍手を送りたいと思います。
たった7桁で“部屋番号まで含めた”住所を一意に識別
新サービスでは、たとえば「東京都千代田区1-2-3 ○○マンション101号室」といった詳細な住所に対して、唯一無二の7桁の英数字コードが割り当てられます。つまり、同じ建物内でも部屋ごとに異なるコードが設定されるため、従来の郵便番号では区別できなかった「細かい住所の違い」も、明確に認識できるようになります。
このような仕組みによって、配送業務の効率化はもちろんのこと、配送時の誤配リスクの軽減、入力ミスや読み間違いといった“ヒューマンエラー”の抑制にもつながります。また、システム側で住所を扱う際にもデータ処理がシンプルになるため、様々な面で業務効率の向上が見込まれます。
普及の鍵は「取得率」と「使うメリット」
どれほど優れた仕組みでも、使われなければ意味がありません。この新住所コードも例外ではなく、いかに早期にコードを取得し、活用していくかが、成功のカギを握ります。
この点で、すでに楽天やGMOといったEC大手が導入を検討しているのは心強いニュースです。さらに、たとえば「新住所コードを利用すると送料が割引になる」といったインセンティブが導入されれば、取得率の向上にもつながるでしょう。新たな制度が社会に根付くには、技術的優位性だけでなく、使う動機付けが不可欠です。
社会全体の効率化へ──長期視点での挑戦を評価したい
日本郵便は今後10年で数千万件のコードを発行し、社会インフラとしての定着を目指すとのこと。これが進めば、物流業界はもちろんのこと、行政サービスや不動産管理、防災対応など、さまざまな分野における情報基盤として活用されていく可能性があります。
こうした既に定着している仕組みの大幅な変更は、システム対応はもちろんのこと、業務への影響も非常に大きく、定着への道筋も多くの困難を伴うと思いますが、是非早期に効果があがることを期待しています。