みなさん、こんにちは。
以前、【徹底比較】VYM・SCHD・HDV・SPYDの違いとは?という記事で、米国高配当ETFの特徴と、私がそれらをポートフォリオに取り入れている理由について詳しく解説しました。
【徹底比較】VYM・SCHD・HDV・SPYDの違いとは? 特徴・セクター構成も解説!
今回は視点を欧州に移し、【SBI欧州シリーズ 欧州高配当株式(分配)ファンド】をご紹介します。欧州の高配当株に投資するメリット、そしてこのファンドの具体的な特徴と魅力、注意点について掘り下げていきます。
高配当株投資の魅力を再確認
高配当株投資には、以下のような魅力があります。
1. キャッシュフローの安定性
インデックス投資を定率売却することで現金を確保する方法もありますが、下落局面では精神的な負担が大きいものです。配当であれば保有株を売却せずに現金を受け取れるため、心理的な安心感があります。
2. 分散投資の容易さ
ETFや投資信託を通じて、数十〜数百社に分散投資が可能です。個別株のように業績チェックを頻繁に行う必要もなく、初心者でも扱いやすいです。
3. 増配による配当成長の可能性
保有しているだけで配当が年々増えるケースも多く、インカム収入が成長することが期待できます。インフレに対応するためにも、安定的に増配する銘柄を含むファンドは大きな強みとなります。
4. インカム+キャピタルの“二刀流”
高配当銘柄の中にも株価成長を遂げているものがあり、配当と値上がり益の両方を狙える点も魅力です。
今回注目する投資信託:SBI欧州シリーズ 欧州高配当株式(分配)
このファンドは、欧州の高配当株式にアクティブ運用で投資する商品で、投資効率とキャッシュフローのバランスを追求しています。
項目 | 内容 |
---|---|
設定日 | 2024年2月28日 |
投資対象地域 | 欧州 |
分配頻度 | 年4回(3月・6月・9月・12月) |
信託報酬 | 年率0.099%(税込) |
購入手数料 | 無料 |
マイレージポイント | 年率0.0375%相当 |
為替ヘッジ | なし(為替リスクあり) |
分配金実績(設定以来)
年月 | 分配金(1万口あたり) |
2024年3月 | 0円(設定月の翌月のため) |
2024年6月 | 160円 |
2024年9月 | 140円 |
2024年12月 | 140円 |
2025年3月 | 155円 |
合計 | 595円 |
現在の基準価格:10,809円(2025年6月5日時点) → 分配金利回り:約5.5%(直近1年の実績ベース)
現在の状況、今後の方針
このファンドの特徴は、業績・景気・金利動向・関税状況など、マーケットの変化に応じた柔軟なセクター変更、採用銘柄の入れ替えです。
SBI証券の月次レポートによると、2025年4月末時点のセクター配分は次のとおりです。
4月は、配当利回り水準・業績動向等を勘案して、エネルギ―などのウェイト減・公益などのウェイト増や、国別のウェイト変更など、アクティブファンドのとおり機動的に行っています。
順位 | 2025年4月 | 割合 |
1 | 銀行 | 24.6% |
2 | 資本財 | 10.5% |
3 | 通信サービス | 8.9% |
4 | 公益事業 | 7.7% |
5 | 医薬・バイオ | 7.0% |
6 | 食品・飲料・タバコ | 6.9% |
7 | 保険 | 5.0% |
8 | エネルギー | 4.5% |
9 | 素材 | 3.6% |
10 | ソフトウェア | 2.9% |
また、今後の運用方針として、GRANOLAS(グラノラス)など成長性の高い、増配が期待される銘柄などへも投資し、インカムゲイン(分配)の獲得に加えて株価上昇(成長)も獲得したいとのことです。
さて、グラノラスという聞きなれない言葉が出てきたので調べたところ、”食べ物のシリアル”ではなく、欧州版の”マグニフィセント・セブン”的な会社群のことを指すそうです。具体的には、以下の企業の文字からとったもので、欧州株式市場を代表・牽引する11銘柄を指すそうです。
<GRANOLAS(グラノラス)>
・GlaxoSmithKline(医薬品、イギリス)
・Roche Holding AG(医薬品、スイス)
・ASML Holding NV(半導体製造装置、オランダ)
・Nestle SA(食品、スイス)
・Novartis AG(医薬品、スイス)
・Novo Nordisk A/S(医薬品、デンマーク)
・L’Oreal S.A.(化粧品、フランス)
・LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton SA(高級品、フランス)
・AstraZeneca PLC(医薬品、イギリス)
・SAP SE(ソフトウェア、ドイツ)
・Sanofi(医薬品、フランス)
注意点
SBI欧州高配当株式(分配)ファンドは、2024年2月に設定されたばかりで、運用開始からまだ日が浅いファンドです。そのため、今後どのような運用成果になるかは未知数であり、実績が十分に蓄積されていない点には注意が必要です。
また、このファンドはアクティブ運用型です。つまり、指数に連動するパッシブ型と違い、ファンドマネージャーの運用判断が成果に大きく影響します。現在のところ、状況に応じた銘柄・業種の入れ替えなど、戦略的な動きが見られますが、その判断が中長期的に成果につながるかどうかは、これからの運用次第です。
こうした特性をふまえ、私はこのファンドに対しては、「過度に信じて大金をつぎ込むのではなく」、価格が安くなった時に少額をスポット購入してみる付き合い方を想定しています。
まとめ:欧州高配当株ファンドの「地域分散」としての活用
これまで高配当については米国株・日本を中心に行ってきましたが、地域分散の観点から欧州の高配当株も選択肢に加えてみようかと思います。
「低コスト・高分配・年4回・地域分散・アクティブ運用」
これらの特徴のSBI欧州シリーズ 欧州高配当株式(分配)ファンド、安定的な収入源になるよう、ファンドマネージャーの手腕に期待したいところです。
以前、米国の高配当株について記事を書いていますので、合わせてご参照ください。
【徹底比較】VYM・SCHD・HDV・SPYDの違いとは? 特徴・セクター構成も解説!