先日の記事では、株主への利益還元の姿勢として「累進配当」に注目しました。減配せず、配当を着実に積み上げていく企業。その姿勢には、企業としての持続性や株主との信頼関係を大切にする想いが感じられ、注目しています。
過去に記載した累進配当に関する記事はこちらです。
株主還元とは?配当・自社株買い・DOE・累進配当・配当性向までわかりやすく解説
今回は、その「累進配当」に焦点を当てた新しい投資信託をご紹介したいと思います。
日経累進高配当株指数とは
この投資信託の連動対象となっているのは、「日経累進高配当株指数(愛称:しっかりインカム)」です。
この指数は、日本国内で上場する企業の中から、
- 過去10年間、減配せず配当を維持または増配している企業を選び、
- その中でも配当利回りの高い30銘柄を採用しています。
選定にあたっては企業のファンダメンタル(財務健全性など)は考慮されませんが、「減配しない」という過去の実績に重きを置いている点が特徴です。
また、構成銘柄は年に1回見直され、入れ替えの際に既存銘柄が優先される一定のルールが設けられています。配当利回りの目安として、アムンディ社が公表するデータによれば、過去の配当利回りは約4.48%。インカム狙いの投資家には心強い数値です。
新たに登場した投資信託「(アムンディ・インデックスシリーズ)日本・高配当株」
この指数に連動する形で、2025年4月に設定されたばかりの投資信託が、「(アムンディ・インデックスシリーズ)日本・高配当株」です。
- 設定日:2025年4月18日
- 信託報酬:年率0.198%
- 純資産総額:10.4億円(2025年6月6日時点)
- 取り扱い証券会社:SBI証券、楽天証券、マネックス証券、三菱UFJ eスマート証券、松井証券
- 年2回の分配あり
- NISAの成長投資枠にも対応
高配当銘柄への分散投資が、少額からでも可能で、NISAにも対応しているというのは、配当を着実に積み上げていきたい個人投資家にとってはありがたい選択肢です。
組入れ上位10銘柄(2025年2月末時点:アムンディ資料より)
銘柄 | 配当利回り(%) | 組入れ比率(%) |
---|---|---|
大林組 | 3.95 | 7.7 |
SBIホールディングス | 3.69 | 7.5 |
三井住友トラスト | 4.05 | 7.3 |
武田薬品工業 | 4.52 | 7.3 |
東ソー | 4.88 | 7.2 |
三菱HCキャピタル | 3.96 | 6.8 |
MS&ADインシュランス | 4.63 | 6.7 |
アステラス製薬 | 5.08 | 6.6 |
丸井グループ | 4.09 | 6.3 |
LIXIL | 5.27 | 5.7 |
インフラや金融、医薬、化学など多様な業種が含まれており、一定の分散効果が期待できます。
投資にあたって気をつけたいこと
一方で、以下のような点には注意が必要です。
- 運用開始から日が浅く、実績がまだないこと
- 資産規模が小さいため、繰上償還・運用コスト増加のリスクがあること
- 銘柄選定に財務健全性などが加味されていないこと
- 株価の下落や減配リスクが当然ながら存在すること
こうしたリスクを理解したうえで、長期的に「配当収入の積み上げ」を目指す方にとっては、注目に値する商品だと思います。
おわりに
企業が長年にわたり配当を減らさず、少しずつでも増やしていくという姿勢。その背景には、株主との対話や、持続的な成長への強い意志があります。
その想いに共感しながら、投資という形で企業と歩む。そのための一つの手段として、「しっかりインカム」という選択肢を心に留めておいてもよいかもしれません。
過去に記載した累進配当に関する記事はこちらです。
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