以前の記事でご紹介した「SBI日本高配当株式(分配)ファンド」。
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今回は、2025年7月末時点の月次レポートが公表されましたので、その内容を整理してお伝えしたいと思います。
1.運用実績
- 基準価格:12,479円(前月比 +435円)
- 純資産総額:1,049.61億円(前月比 +45.13億円)
順調に基準価格・純資産ともに増加していますね。投資家の関心も高まっていることが伺えます。
2.市場動向
7月の国内株式市場は前半と後半で大きく表情が変わりました。
- 前半:トランプ関税の不透明感、参議院選挙での与党敗退を見越した政局の不透明感が重しとなり、株価は弱含み。
- 後半:7月23日に日米が「自動車を含む15%関税」で合意したことを受け、自動車株を中心に大幅上昇。翌24日にはTOPIXが史上最高値を更新しました。
結果として、主要指数はプラスで終了:
- TOPIX(配当込み):+3.17%
- 日経平均:+1.44%
- 東証グロース市場250:+1.61%
不透明感から一転して、力強い上昇に転じた月でした。
3.ポートフォリオの状況
- 配当利回り:3.70%
- PBR:1.67倍
- ROE:11.51%
- 組入銘柄数:96
業種別の上位は次の通りです:
- 銀行業:10.83%
- 化学:7.82%
- 輸送用機器:7.08%
- 電気機器:6.97%
- 機械:6.46%
銀行株・自動車株の高めの比率が、日銀の利上げおよび関税合意後の恩恵に寄与することに期待したいです。
4.運用状況と個別銘柄の動き
7月のファンドパフォーマンスは +4.65%(分配金込み基準価額ベース)と、市場平均を上回る成績でした。
- 上昇寄与銘柄:
- フジクラ(電線株、データセンター関連期待)
- みずほフィナンシャルグループ(利上げ期待で銀行株が上昇)
- SBIホールディングス(株式市場活況・子会社上場報道)
- 下落寄与銘柄:
- 武田薬品(ディフェンシブ銘柄として売られる)
- ソフトバンク(同じくディフェンシブ性が裏目)
個別銘柄の動きを見ると、市場のリスクオンムードに乗れる銘柄が評価され、逆に守りの株がやや不調でした。
今回の上昇に寄与した「フジクラ」。こちら、個別銘柄の組入れ上位29位に入っているのですが、配当利回り0.97%と決して高配当ではないのですよね。キャピタルゲイン狙いでの銘柄選定だとすると、今回はうまくいっていました。
5.投資行動の特徴
7月は四半期決算を控えて売買は控えめでしたが、いくつかの銘柄で入れ替えがありました。
- 売却・引き下げ:「商船三井」「コスモ石油」
- 購入:「アステラス製薬」「イーグル工業」(業績の下方修正リスクが小さいと判断)
特に注目なのは購入銘柄の株価推移:6月末→7月末
- アステラス製薬:1,416円 → 1,578円
- イーグル工業:1,920円 → 2,421円
どちらも決算を好業績で通過し、株価も上昇。アクティブファンドらしい機動的な対応が見られました。
6.今後の運用方針
8月は第1四半期決算シーズンを迎えます。特に関税の影響が大きい自動車株への注目度が高まりそうです。
- 注目テーマ
- 自動車を中心とした輸出関連の業績動向
- 賃上げ効果による、内需企業のへの個人消費期待
- 出遅れ感のある中堅株の再評価
- 利上げ期待が再燃した金融株の動き
ファンドとしては引き続き「収益性が高く、配当政策がしっかりしている企業」に投資し、インカムゲインと中長期的な成長を両立させる方針です。
まとめ:インカムとキャピタルの両面を楽しむファンド
今回の月次レポートを見ると、SBI日本高配当株式(分配)ファンドは「高配当を軸にしながらも、市場環境に応じてキャピタルゲインも狙う」というバランスが光っていました。
フジクラのように配当は低めでも株価上昇が期待できる銘柄を織り込んでいたあたりに、アクティブファンドらしさを感じました。
今後も月次レポートを追いながら、どのようなパフォーマンスを見せるか、注目していきたいです。