今回は、SBI証券から発表された欧州高配当株式ファンド(年4回決算型)2025年7月月次レポートの内容をわかりやすく整理してみました。
前回の記事「米国株だけじゃない!欧州高配当株ファンドの魅力とは?」で紹介したファンドの最新状況です。
運用実績の状況
SBI証券の月次レポートによると、2025年7月末の状況は以下の通りです。
- 基準価格:11,368円(前月末比 +331円、+3.0%)
- 純資産総額:186.32億円(前月末比 +13.33億円、+7.7%)
基準価格・純資産ともに順調に増加しています。投資家にとっても安心できる状況ですね。
市場動向
月次レポートでは、7月の欧州株式市場について以下のように説明されています。
- STOXX Europe 600指数:+0.9%
- 欧州中央銀行の動き:ユーロ圏経済が底堅さを示すなか利下げを見送り
- 米EU関税交渉:上旬は交渉進展期待で堅調、中旬以降は関税発表で軟調、下旬は交渉がまとまらずリスク回避
- 国別動向:ドイツDAX指数・英FTSE指数は史上最高値更新、イタリアやスペインも比較的堅調
- セクター別動向:エネルギー、金融などが堅調
STOXX Europe 600指数対比でも、ファンドの運用は順調のようです。
ファンドの運用状況(個別銘柄)
月次レポートでは、ファンド内の銘柄寄与について以下のように解説されています。
- プラス寄与銘柄
- ブリティッシュ・アメリカン・タバコ:電子タバコなど無煙タバコ製品の売上が好調
- ザバデル銀行:業績が上振れ
- マイナス寄与銘柄
- ノボノルディスク:減肥薬の売上減速
- ASMLホールディング:売上見通し下方修正
SBI証券によると、業績動向・配当水準の観点からセクター別では大きな変更は行っておらず、また国別でも大きな変更は行っていないとのことです。
今後の運用方針
月次レポートでは、今後の運用について次のようにコメントされています。
- 関税引き上げによる影響度測定は時間を要する
- ウクライナ情勢、EU主要国の財政支出、中国景気なども材料として注目
- 高配当利回りの組入を中心に、GRANOLAS(グラノラス)など成長性の高い増配期待銘柄も組入れ
- インカムゲイン(分配)とキャピタルゲイン(株価上昇)の両立を目指す
SBI証券は、「不透明感の高い市場環境が長期にわたり継続する可能性が高まったなか、様々な材料を注視していく」としています。
さて、グラノラスという聞きなれない言葉が出てきたので調べたところ、”食べ物のシリアル”ではなく、欧州版の”マグニフィセント・セブン”的な会社群のことを指すそうです。具体的には、以下の企業の文字からとったもので、欧州株式市場を代表・牽引する11銘柄を指すそうです。
<GRANOLAS(グラノラス)>
・GlaxoSmithKline(医薬品、イギリス)
・Roche Holding AG(医薬品、スイス)
・ASML Holding NV(半導体製造装置、オランダ)
・Nestle SA(食品、スイス)
・Novartis AG(医薬品、スイス)
・Novo Nordisk A/S(医薬品、デンマーク)
・L’Oreal S.A.(化粧品、フランス)
・LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton SA(高級品、フランス)
・AstraZeneca PLC(医薬品、イギリス)
・SAP SE(ソフトウェア、ドイツ)
・Sanofi(医薬品、フランス)
まとめ
SBI証券の月次レポートを見てみると、7月の欧州高配当株式ファンドは基準価格・純資産ともに順調に推移しています。
市場環境は不透明感が続きますが、インカムゲイン(分配)の獲得に加えて株価上昇(成長)の獲得を目指す運用方針は変わらず示されましたので、引き続き見守っていきたいです。