私のお気に入りの方が推奨しており、いつか読もうと思っていた書籍 ニック・マジューリ著『JUST KEEP BUYING』を、手に取ってみました。
著者は米国のデータサイエンティストです。難解な専門用語はほとんどなく、豊富なデータをもとに、誰にでもわかりやすい言葉で「お金との向き合い方」を語ってくれています。読み進めていくうちに、「数字の安心感」と「人間らしい温かさ」の両方を感じられ、小説のように読み進めてしまいました。
2部構成 ― 貯金力アップ編と投資力アップ編
本書は「貯金力アップ編」と「投資力アップ編」の2部構成です。どちらから読んでも理解できるように工夫されています。
貯金力アップ編 ― 充実感のあるお金の使い方
特に心に残ったのは、「お金の使い方」についての考察でした。
著者は、何を買うかよりも「どんな基準で買うか」が大切だと説きます。
罪悪感が残る買い物は、それが高額だからではなく、自分の中で正当化できないから。ではどうすれば正当化できるのか――その答えは「長続きする充実感につながるかどうか」です。
この視点を補強する形で、2冊の名著が紹介されていました。
- 『幸せをお金で買う5つの授業』
体験を買う/たまに贅沢をする/時間を買う/前払いする/人のために使う - 『モチベーション3.0』
自律性(自主的であること)/熟達(技能の向上)/目的意識(大きなものへのつながり)
つまり、「お金の使い方」そのものではなく、自分の人生で本当に欲しいものを見極め、充実感につなげること。著者の言葉は、何に消費すべきか迷いを抱える私たちに、静かに深い示唆を与えてくれます。
投資力アップ編 ― 神でも勝てない!?ドルコスト平均法
投資の章で圧巻だったのは、「ドルコスト平均法」と「押し目買い(バイ・ザ・ディップ)」のシミュレーション結果。
前提はシンプルです。
- 1920年から1980年のいずれかの時点から40年間、米国株に投資する
- 方法は2つ
1. ドルコスト平均法(毎月100ドルをコツコツ定額積立投資)
2. バイ・ザ・ディップ(毎月100ドルを貯金し、最高値と次の最高値の間にある最安値で、その時点の貯金全額を一括購入。しかも最安値がいつかを知っている神の視点で!)
直感的には、神が「最安値」を知っている2の方法が勝つはずです。
しかし、結果は驚くべきものでした。
40年間の投資のうち、70%以上のケースで、2の方が1を下回る。
つまり、「ドルコスト平均法には、神でさえ30%の確率でしか勝てない!」のです。
理由は2つ。
- 深刻な暴落はそう頻繁に起きない(購入チャンスが少なく、貯金のままの期間が長い)
- また、たとえ最安値を知っていても、購入タイミングがわずか2か月ずれるだけで勝率が30%→3%に更に急落するため、プロの投資家でも難しい
このシミュレーションは、「市場に長い時間居続ける事」の強さを鮮やかに示していました。
そのほかの魅力
本書にはほかにも、
- 税金がかからないリバランスの方法
- お金と時間、どちらがより大切な資産か
といったテーマが豊富に語られています。
読みやすい文章と、確かなデータに基づく説得力。投資初心者はもちろん、すでに実践している人にとっても「腑に落ちる」ヒントが詰まった一冊です。
特に、巻末の「JUST KEEP BUYING 21の黄金ルール」は、自分の人生を豊かにし、自分のお金の管理方法の指針として参考になると思います。
まとめ
『JUST KEEP BUYING』は、単なる投資指南書ではなく、「お金とどう生きるか」を問いかけてくる本でした。
お金に関する不安や迷いを抱えるすべての人に、ぜひ一度手に取っていただきたいと思います。
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JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則 [ ニック・マジューリ ]
以前読んだ本「DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)」ビル・パーキンス著 もなかなか味わい深いものでした。こちらの記事に感想を載せていますので、よかったら合わせてご覧ください。
👉【DIE WITH ZERO 感想】人生は“思い出”が資産?経験に投資するという考え方