以前の記事「米国株だけじゃない!欧州高配当株ファンドの魅力とは?」でご紹介した、SBIの欧州高配当株式(分配)ファンド。
今回は、2025年8月の月次レポート(8/29基準)の内容を見ていきたいと思います。
運用実績
- 基準価格:11,548円(前月末比+180円、+1.58%)
- 純資産総額:199.38億円(前月末比+13.06億円)
8月は順調に上昇。投資家からの資金流入も続いており、人気がじわじわ高まっている印象です。
市場動向
欧州株式市場(STOXX Europe 600指数)は+0.7%とプラス。
- 米関税懸念や景気不安 → マイナス要因
- FRBの利下げ観測 → プラス要因
結果的に小幅プラスで終わりました。
英FTSE指数は史上最高値を更新し、スペイン・デンマーク市場も堅調でした。
セクター別では、ヘルスケア・エネルギーが強い動きを見せました。
ファンドの運用状況
- 配当利回り:4.59%
- 組入れ銘柄数:85
📌組入れ上位10銘柄(2025年8月末時点)
順位 | 銘柄名 | 国・地域 | 業種 | 比率 | 配当利回り |
---|---|---|---|---|---|
1 | Banco de Sabadell | スペイン | 銀行 | 3.30% | 6.30% |
2 | British American Tobacco | イギリス | 食品・飲料・タバコ | 2.54% | 5.71% |
3 | HSBC Holdings | イギリス | 銀行 | 2.20% | 4.98% |
4 | UniCredit | イタリア | 銀行 | 2.15% | 3.64% |
5 | Erste Group Bank | オーストリア | 銀行 | 2.13% | 3.69% |
6 | Intesa Sanpaolo | イタリア | 銀行 | 2.12% | 6.34% |
7 | BAWAG Group | オーストリア | 銀行 | 2.05% | 4.98% |
8 | Imperial Brands | イギリス | 食品・飲料・タバコ | 1.99% | 6.04% |
9 | Admiral Group | イギリス | 保険 | 1.99% | 4.89% |
10 | Rolls-Royce Holdings | イギリス | 資本財 | 1.89% | 0.70% |
👉 プラス寄与→決算見通しの上方修正を受けて史上最高値を付けたロールス・ロイス、純金利見通しの改善が好感されたKBCグループ、買収の対象として注目されているサバテル銀行
👉マイナス寄与→業績の悪化したエンジ―、トランプ政権の風力発電プロジェクト停止で売られたシーメンス・エナジー、AIのマイナス効果が懸念されたSAP
📌組入れ上位10業種
業種 | 比率 |
---|---|
銀行 | 28.23% |
資本財 | 11.34% |
電気通信サービス | 8.88% |
エネルギー | 7.99% |
医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス | 6.75% |
保険 | 6.10% |
食品・飲料・タバコ | 5.73% |
公益事業 | 5.14% |
素材 | 3.92% |
自動車・自動車部品 | 2.54% |
👉 銀行セクターだけで3割近く。分配金の安定感が期待できる構造ですが、セクター偏重には注意したいところですね。
今後の運用方針
トランプ政権の「相互関税」は市場テーマとして残りつつも、反応はやや落ち着きつつあります。
注目は「消費者にどの程度コスト転嫁されるのか」。これが景気や企業業績に波及する可能性があります。
加えて、ECB・FRBの金融政策、ウクライナ情勢、中国の景気動向なども大きな材料。
ファンドは引き続き 高配当株+GRANOLAS(欧州の成長株) を組み合わせる運用で、インカムと成長の両立を狙っていくとのことです。
グラノラスという聞きなれない言葉が出てきたので調べたところ、”食べ物のシリアル”ではなく、欧州版の”マグニフィセント・セブン”的な会社群のことを指すそうです。具体的には、以下の企業の文字からとったもので、欧州株式市場を代表・牽引する11銘柄を指すそうです。
<GRANOLAS(グラノラス)>
・GlaxoSmithKline(医薬品、イギリス)
・Roche Holding AG(医薬品、スイス)
・ASML Holding NV(半導体製造装置、オランダ)
・Nestle SA(食品、スイス)
・Novartis AG(医薬品、スイス)
・Novo Nordisk A/S(医薬品、デンマーク)
・L’Oreal S.A.(化粧品、フランス)
・LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton SA(高級品、フランス)
・AstraZeneca PLC(医薬品、イギリス)
・SAP SE(ソフトウェア、ドイツ)
・Sanofi(医薬品、フランス)
まとめ
欧州株は米国株に比べて注目度が低めですが、配当利回りの高さは見逃せません。
このファンドのように高配当でのインカムゲインを柱にしつつ、成長株も組み合わせることで、安定と成長の両方を狙えるのは魅力的です。
「米国株に偏っているな」と感じる方にとって、分散投資の一つの選択肢になりそうですね。
引き続き、動きを追いかけていきたいと思います。
👉 過去記事はこちらもどうぞ:
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