前回の記事では、日経平均株価のオーバーナイト・リターン(前日終値から翌日寄り付きまでの変化)について、検証結果をご紹介しました。
👉【年率10%超え!?】オーバーナイト・リターン(overnight return)戦略を10年分のデータで徹底検証してみた
今回は、その結果をさらに詳しく掘り下げ曜日毎に分析し、月曜終値から火曜寄り付きまでのリターンが飛びぬけて高かったこと、および2020年以降の傾向を分析しました。
まずは10年間の“曜日別”の検証結果
2025/8/9までの約10年間、日経平均のオーバーナイト・リターンを曜日別に集計したところ、こうなりました。
- 金曜終値 → 月曜寄り付き:+0.0092%
- 月曜終値 → 火曜寄り付き:+0.1242%
- 火曜終値 → 水曜寄り付き:+0.0216%
- 水曜終値 → 木曜寄り付き:+0.0572%
- 木曜終値 → 金曜寄り付き:-0.0062%
(全体平均:+0.0418%)
この時点で、月曜→火曜の+0.124%は、他の曜日を大きく上回りました。

そこで、2020年以降に絞って再検証
直近のデータの検証ということで、2020年以降のデータに絞って検証してみました。
曜日ごとの特徴はどう変化したのか?
2020年以降のデータを集計した結果がこちらです。
- 金曜→月曜:+0.0196%
- 月曜→火曜:+0.2650%
- 火曜→水曜:-0.0205%
- 水曜→木曜:+0.0171%
- 木曜→金曜:-0.0198%
(平均:+0.0525%)
ここでのポイントは、月曜→火曜のリターンが+0.265%と、過去10年平均の倍以上に伸びていること。
しかも、火曜→水曜や木曜→金曜はマイナスに沈むことも多く、曜日ごとのメリハリがはっきりしています。

なぜ火曜朝がこんなに強いのか?
理由は一つではないと考えられますが、大きく3つの可能性があります。
- 米国市場の週明け効果
火曜寄り付きは、米国の月曜終値の影響を大きく受けます。2020年以降、米国株が週明けに強い動きを見せていたのであれば、日本市場にもそのまま反映されやすくなっています。 - 週末ニュースの消化タイムラグ
日本の月曜は、米国市場がまだ週末休場中のため、大きな方向感が出にくい日です。本格的な値動きは米国の月曜夜(日本時間火曜朝)に決まり、それが開場直後の日経平均に反映されます。 - 連休効果
後述しますが、月曜が祝日の場合、土日月と3日間も空くので、この傾向はさらに極端に強まります。
この傾向を活用するとどうなる?
もし2020年以降の平均リターン(+0.265%)が今後も続くと仮定した場合、100万円を毎週月曜の引けで買い、翌火曜の寄りで売るだけで…
- 1回あたりの利益:約2,650円
- 年間の該当日数:約48.6回
- 年間利益:約128,790円
- 年率換算:12%超
「火曜朝だけで年率12%」という数字だけみると、インパクトありますね。
月曜が祝日の場合はさらにパワーアップ
さらに掘り下げて、火曜寄り付きのリターンを「前日が祝日だった場合」と「通常営業日だった場合」に分けて調べました。
- 月曜が祝日(サンプル27回):+0.401312%
- 月曜が通常営業日(サンプル221回):+0.248345%
つまり、月曜が休みだと、翌火曜朝は平均で0.4%以上の上昇。
祝日明けの火曜は、週明けの米国株の動きに加え、祝日分の材料を一気に織り込むため、勢いが増すと考えられます。
ただしサンプル数は27と少ないため、今後も同じパターンが続くとは限りません。
まとめ
今回の分析結果は、面白い結果となりました。
「月曜日終値から火曜日寄り付きまでのリターンが突出して高く」、
特に月曜が祝日の場合の「金曜終値~翌火曜寄り付き」で更に上がるという結果となりました。
とはいえ、手動で設定を行わないとならないことなどを考えると、微妙なのかなと思いました。
ちょっとした市場の面白さや発見を感じながら、知識を深めるきっかけにもなればと思います。