先日、書店で目に留まったのが、たーちゃん著の『50万円を50億円に増やした投資家の父から娘への教え』でした。前書き部分を読んだだけで「これは面白そう!」と思い、つい手に取ってしまいました。
著者のたーちゃんさんってどんな人?
著者のたーちゃんさんは、50歳の医師。
「医学部に進んだ理由はお金持ちになれるから」という、ちょっと正直すぎる動機からスタートしています。しかし、合格率97%の医師国家試験に、まさかの不合格。それらをきっかけに、医師としての仕事はほどほどに、投資で悠々自適な生活を目指すことを決意しました。
独自の投資手法で資産を50億円にまで増やしたというのですから驚きです。しかし、そんなときに余命宣告を受け、中高生の娘たちの成長を見守ることが難しい状況に…。
たーちゃんさんは言います。「人生で一番大事なものはお金ではない」と。やりがいのある仕事や、社会に必要とされることこそが生きるモチベーション。しかしお金は自由度を広げ、不安を減らしてくれる。だからこそ、娘たちに自分の投資法を伝えたい――そんな想いで本書を書かれたそうです。
PIVOTの公式チャンネルでのインタビューも拝見しましたが、人柄の良さや考え方にすごく共感しました。
本書の構成とわかりやすさ
この本は、中高生向けのお子さまに投資を教える内容になっているため、初心者でも理解しやすく書かれています。
「そもそも株式会社って何?」という基本から始まり、段階を追って投資の考え方を丁寧に説明してくれます。
特に注目したいのが、たーちゃんさんの独自投資法「シクリカルバリュー株投資」。
その前段階として、「資産バリュー株投資」「収益バリュー株投資」の説明もあり、どの手法も具体例を交えながら解説されています。
資産バリュー株投資
資産バリュー株投資とは、資産に対して株価が割安な銘柄を選ぶ投資法です。
- 銘柄の探し方
- 貸借対照表や有価証券報告書のチェックポイント
- 売り時の考え方
などが具体例とともに紹介されていて、とてもわかりやすいです。
例えば、「昔取得した土地の価額」と「現在の価額」の乖離が大きい会社の事例がありました。帳簿上では数千万円の土地が、実際には数千億円の価値があるというケース。こういう銘柄は「掘り出し物」感があって、投資心をくすぐられますね。
収益バリュー株投資
収益バリュー株投資は、収益力に対して株価が割安な銘柄を選ぶ手法です。
- 損益計算書やキャッシュフロー計算書の注目ポイント
- 将来性の見極め方、売り時の考え方
こちらも具体例が丁寧に示されているので、初心者でも理解しやすいです。
シクリカルバリュー株投資
シクリカルバリュー株投資は、景気循環する業界で、景気の谷にいる銘柄を買う投資法。
特徴は、PERやPBRではなくPSR(株価売上高倍率)を中心に、将来黒字化が見込まれる赤字企業に投資することです。
こちらも対象銘柄の探し方の条件や考え方など、具体的に記載されており、非常に分かり易いです。ここに記載されている事項を頭にいれつつ、日々のニュースや業界動向の観察を行うと楽しみも増えそうですね。
私の感想と少し実践してみたこと
どの手法も説得力があり、ちゃんと実践するれば再現性は高そうですが、私には能力と期間(一定程度の期間を要する)の制約から、フル実践は難しいなと感じました。
ただ、資産バリュー株投資で例に挙がっていた会社は、実際に貸借対照表や有価証券報告書と照らし合わせてみると、将来化ける可能性があり、株価下落リスクも低そうでした。そこで、ちょこっとだけ購入して、気長に見守ることにしました。
インデックスや高配当株とは違う視点の投資手法ですが、考え方を頭に入れておくだけでも、投資活動は楽しくなりそうです。
まとめ
- 『50万円を50億円に増やした投資家の父から娘への教え』は、初心者でも理解しやすく、投資の楽しさや考え方が詰まった一冊です
- 資産バリュー株、収益バリュー株、シクリカルバリュー株の具体的手法が丁寧に解説されている
- 実践するかは別として、考え方を学ぶだけでも投資がもっと面白くなる
皆さんも、もし興味があればぜひ読んでみてくださいね!

50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え [ たーちゃん ]