2025年春、山口県萩市を訪れた際に、忘れられない体験をしたお店があります。おもてなしの心が隅々まで行き届いた、素敵なお抹茶の店。その感動を、ぜひ皆さんにもお伝えしたくて、この記事を書きました。
萩市「惺々庵」の抹茶体験:静かな感動から始まる
まず出迎えてくださったのは、とても品のあるお茶の先生。決して出しゃばらず、しかし一言一言に温かみがあり、素人の私たちにも分かる言葉と会話の深度で丁寧にご説明くださる姿勢に、最初から心をつかまれました。

※趣のあるお店の看板。Google Mapの評価も非常に高い(4.7)です。
萩の日本庭園と春にも赤くなる紅葉の話
お庭に目を向けると、手入れの行き届いた日本庭園が広がります。特に印象的だったのは、春にも赤く色づく紅葉。春に赤い葉が出て、その後緑になり、そして秋には再び赤く染まる──そんな話を先生から伺いました。実際、春に訪れたカップルが、写真を見返して「これ春?秋?」と議論になったという微笑ましいエピソードも。

惺々庵の抹茶と上質な煎茶・羊羹の味わい
最初にいただいたのは、上品な味わいの煎茶。静けさの中に香り立つような美味しさでした。

続いて、小豆の羊羹。これがまた絶品。しっかり甘さを感じながらも、くどくない。上質とはこういうことか、と納得させられました。

そしていよいよ、主役の抹茶。同行した一人が羊羹をすぐに食べたのを見て、その方だけ先に抹茶を運んでくださった先生の心配りには感動すら覚えました。

※私がいただいた茶碗は、岡田裕さんの萩焼作品。
萩焼の魅力と、高級茶碗に触れる体験
抹茶をいただいた後、先生が萩焼について丁寧に解説してくださいました。知識の深さと、それを相手に合わせて伝える技術に脱帽です。しかも、なんと〇百万円もする茶碗を、実際に手に取らせていただけるという体験まで!


茶碗の高台の切り込みについて尋ねたところ、「デザイン性」「身分差」「重ねた時の縄の結びやすさ」など、複数の説があるとのこと。歴史と実用が交差する、その奥深さに魅了されました。
茶室のにじり口と「平等の精神」にふれる
最後に、茶室の「にじり口」から出入りさせていただきました。この小さな入口(高さ65cm・横60cm)は、頭を下げて入ることで謙虚な気持ちになる、つまり「茶室では皆平等である」という精神が込められているのだそうです。

平等の精神のもと、入口横で刀を預けます。そして、頭を下げて謙虚な気持ちで茶室に入ります。


この空間に身を置くことで、ただお茶を飲む以上の「何か」を体験した気がしました。
終わりに
今回の訪問で感じたのは、単なる「お茶体験」ではなく、文化・歴史・心遣いが織りなす“時間”そのものでした。抹茶の味、萩焼のぬくもり、そして先生のおもてなし──すべてが心に染み渡るようなひととき。
惺々庵は、山口県萩市にある小さな抹茶処です。
萩焼の茶碗で抹茶をいただけるこの体験は、茶道の嗜みのある方はもちろん、茶道初心者にもおすすめです。
萩を訪れる機会があれば、ぜひこのお店にも足を運んでみてください。きっと、忘れられない体験が待っています。
このような体験ができて、料金はたったの500円でした。
惺々庵
〒758-0072 山口県萩市呉服町1丁目27
萩での宿泊先もとっても素敵な場所でした。
👉萩の旅で出会った素敵な場所。ゲストハウス ruco