朝の空気の冷たさに、ほんのりとした秋の香りが混じっていました。
学生時代の旧友たちと、紅葉最盛期の高尾山へ向かう朝。電車の窓から差し込む光さえ、どこか懐かしい記憶を呼び起こしてくれるようでした。
この日は、腰に不安を抱える友人もいたため、
「頂上まで歩いて稲荷山コースを登るチーム」
「リフトで途中まで登るチーム」
の二班に分かれて登ることにしました。
稲荷山コースを選んだチームは、約100分の道のりへ。
しっとりと湿った木道、風に揺れる葉の音、そして鮮やかに燃えるような紅葉。
一歩歩くたびに、体の中のざわつきが静まり、代わりに昔の記憶がふっと蘇っていきます。
「そういえば、あの時さ……」
「お前、あの子のこと気になってただろ?」
「卒業したあと、ケニアに一人旅に行ったのよ!」
気がつけば、稲荷山の勾配を登りながら、学生時代の時間がそのまま戻ってきたかのように、笑いの輪が広がっていました。


山頂での再会と、鮮やかな紅葉のご褒美
山頂に着き、リフト組の仲間を手を振りながら迎えました。
「無事に合流できて良かったな」
そんな一言が、思いのほか胸に沁みました。
そして、目の前に広がるのは、まさに最盛期の紅葉。
赤、橙、黄色、そしてわずかに残る緑とのコントラスト。
自然がつくりだす色彩は、どうしてこんなにも心を揺さぶるのでしょう。

グルメも旅の一部
そして、高尾山といえばやはりグルメ。
道中では、
- お団子
- 天狗焼き
- 味噌田楽
- 玉こんにゃく
- アイスクリーム
そしてもちろん、冷たいビール。
山の空気の中でいただくご当地グルメは、どうしてこんなにもおいしいんでしょうか。
「これ、昔の文化祭で食べた味に似てるな」なんて会話にも花が咲き、またひとつ心のアルバムに色が重なる感覚がしました。


パワースポットへ
下山前には、パワースポット巡りも。
高尾山薬王院の八大龍王堂では、足元を流れる水でお金を清めると “願いが叶い、お金が増える” と言われています。
そんな話を聞いた一同は、お金を洗うザルに紙幣・硬貨をそっと入れ、みんなで金運上昇を祈願。
冗談混じりの笑い声の中にも、どこか真剣な眼差しがあったのが印象的でした。
ただ、紅葉のピークということもあり、リフトは大混雑。
朝早く行ったにも関わらず、
登りは20分待ち、下りは50分待ち。
それでも、並んでいる時間すら、なぜか心地よい思い出の一部になっていきました。

下山後も続く “あの頃の時間”
下山してからも、話は尽きることがありませんでした。
駅前の居酒屋に入り、一席もうけて乾杯。
そして話題はいつしか、
「人生でいちばん大切なものって何だろう?」
という哲学的なテーマへ。
誰かがぽつりと、
「やっぱり“思い出づくり”なんじゃないかな」
その瞬間、全員が静かにうなずきました。
今日という一日が、まさにその“思い出”の一枚になっていることを、誰もが感じていたからだと思います。
今日の余韻
気がつけば、丸一日を仲間と共に過ごし、笑い、語り、歩きました。
高尾山の紅葉の美しさも、稲荷山コースの静けさも、山頂での合流の瞬間も、
そして帰り道の居酒屋での語り合いも。
すべてが、
「大切な思い出づくり」
という言葉へ収束していきました。
歳を重ねても、こうしてまた新しいページを仲間と刻めたこと。
そのこと自体が、何よりの贈り物だった気がします。





